論文式試験の答案を書く時の「1パターン」

どの科目・どの出題テーマでも使える解き方の基本をマスタしましょう
未設定 2025.07.12
誰でも

いつもお読みくださいましてありがとうございます

昨日のレターは、本日お昼すぎに増補改訂ヴァージョンを公開しました

この記事では、

「どんなステージであっても、現役受験生なら7・8月は論文式試験の条文説明問題の過去問演習をやろう」

という主張で、理由についてタップリ説明しています

と同時に、口述対策をはじめるタイミングについても言及していますので、ご一読をお願いします

***

ようやくですが、宿題にしていた平成21年 意匠・問題Iを解いていきましょう

平成21年度弁理士試験論文式筆記試験問題・意匠

平成21年度弁理士試験論文式筆記試験問題・意匠

初回の課題なので、思い思いに答案を書いてもらいました

今日は、どの科目・どんな出題パタンであっても共通する「解答の流れ」を説明しますから、次回の演習問題からは今日解説する「解答の流れ」で書いてみてください

その「解答の流れ」とは、

  • 設問の把握

  • (事案の整理)

  • 答案構成

  • 答案構想

  • 答案表現

の5つです

このうち、「2. 事案の整理」のステップは、事案のない条文説明問題(「一行問題」と呼ばれることもある)では存在しません

すなわち、条文説明問題は、

  • 設問の把握

  • 答案構成

  • 答案構想

  • 答案表現

のステップを経て、答案を完成させます

また、「解答の流れ」のうち、「答案構想」は、答案構成の後であっても答案表現の前、というよりは、正確には、最初から最後まで全体を通じて考え続けるステップとも言えます

「解答の流れ」の全体像を図に示すと以下のようなイメージですね

それでは、平成21年の意匠・問題I(以下、「本問」という)を題材に、各ステップを順に見ていきましょう

1. 「問題を把握する」ためには、形式面をチェックした後に、設問表現にアンダラインをする

1つ目の「問題の把握」は、さらに、

(1). 形式面のチェック
(2) 設問表現のアンダライン

の2つからなります

(1). 形式面のチェック:①. 配点 ②. 設問数を見る

このうち「形式面のチェック」では、①. 配点と②. 設問数とをチェックします

まず、本問だと配点は50点ですね

この年は意匠全体で100点で、今の試験と同様に4ページで解答をまとめることが求められているから、

「50点=表面2ページでまとめる」

という見積もりをしましょう

次に、設問数ですが、(1)・(2)の2問です

ここで、小問ごとの配点については、明示されていない限りは推測するしかありません

もっとも、

「多くの解答量を求める問題は、それだけ配点も高い」

と考えるのが自然です

本問について見ると、問(1)は規定の趣旨、問(2)は複数の条文の列挙ですから、問(2)のほうが記載量は多くなります

そうなると、たとえば、表面2ページ(=40行)のうち、

問(1):~10行
問(2):~30行

と解答は見積もれそうです

(2). 設問表現=問題文中の命令形・疑問文にアンダラインを引く

形式面をチェックできたら、設問表現にアンダラインを引きます

ここで「説明表現」とは、問題文中にある命令形/疑問文の一文を言います

本問でいうと、

問題文柱書:以下の各問に答えよ
問(1):本条の趣旨について説明せよ
問(2):「先の意匠登録出願」(3条の2本文)の出願の日の認定に関し、関係する条文を挙げて説明せよ

が設問表現です

どの科目・どんな出題であっても、何を解答するかは設問表現によって決まります

このことは法律っぽく言うと、

「解答内容は設問表現に拘束される」

と言えそうです

本問はシンプルなので迷いなく解答できます

他方、令和7年の問題のように「解答しようと思えば解答できる」ような状況においては、設問表現を繰り返し読んで、解答内容を絞り込む必要があります
(この「解答内容の絞り込み」については、よりハイレベルな過去問を演習するときに解説します)

2. 「趣旨」が問われたときの1パターンな答案構成

問(1)のように、制度の趣旨が問われたら、

1. 原則
2. しかし
3. そこで

の流れで解答します

このうち、「1. 原則」には、趣旨について解答を求められている規定の直前の規定が入ります

本問でいうと3条の2の趣旨が問われているから、3条ですね

次に「2. しかし」のパートでは、原則の問題点を解答します

最後に、「3. そこで」では、「(解答を求められている規定)が制定された」で締めくくります

口述試験なら、「問題点⇒そこで」を解答すればOK

なお、口述試験で規定の趣旨が問われたときは、「問題点⇒そこで」だけを解答できれば十分です

1つの問いかけに時間をかけるよりも、1つ1つはアッサリ解答して、10分間で最後の問題の解答までたどり着くのを第1目標にしましょう

ここまでの答案構成をまとめると、

問(1)
1. 新規性(3①各)
2. 先願に係る意匠の「一部」(3条の2本文)と同一・類似の意匠
∴新たな意匠の創作ではなく、権利の錯綜を招来
3. 3条の2を規定

ここで、「権利の錯綜を招来する」というのは、3条の2における解答のキーフレーズです

この趣旨のキーフレーズは、加点項目と思われるため1つ1つ覚えていきましょう

実際に答案を書くときも、

まずはキーフレーズを解答する
👇
解答したキーフレーズの前後は、矛盾が生じないように解答する

といった関係性があります

以上、宿題にしていた平成21年 意匠・問題Iを解説しはじめました

次回は問(2)の項目リストアップ問題における「解答すべき項目の見つけ方」を解説していきます

それでは、本日も最後までお読みくださいましてありがとうございました

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