民間で作成された問題で答案練習するのはコスパが悪い
いつもお読みくださいましてありがとうございます
冒頭で短答式試験対策について少しお知らせ(というかほぼ雑談)をします
短答過去問・全肢解説は令和7年の問題も含めて平成14年以降の本試験問題のすべてについて解説を終えていて、校正が終わったものからリリースしています
目標としては毎年、短答式試験の合格発表の日に、その年の本試験問題の解説を含めた最新ヴァージョンをリリースしたいです
そのほうが、
「来年の合格に向けて、さっそく過去問演習しましょう」
って言いやすいでしょう?
元々、論文式試験の答案を自分で改めて書きはじめたのも、市中で流通してる答案に言いたいことがあったからです
自分で答案を書いてもないのに、あるいは自分で書いた答案を誰かに見せることもできないのに、他人の答案についてアレコレ批判するのもダサいよなぁと思って
その合格者の方から僕が公開してる答案例をどのように活用してたか、サンプルが送られてきたんでお見せします
ここまで活用してもらえると圧巻の一言ですし、原著作者冥利につきます
#論文式試験対策
そんな僕の答案をベースに受験勉強に励んでくれた受験生が最終合格してくれるのは本当にうれしいです
この密度でマーキングして、それも全科目・全年度の答案についてやってたらそりゃ受かるわな、と当時も今も思いますし、こうして活用してくれるのは原著作者冥利に尽きます
と同時に、原著作者が二次的著作物の著作者と同一の種類の権利を専有できる(著28条)ってこういうことか、って腹落ちしました
僕がリリースしている答案例を参考に勉強した受験生が弁理士試験に最終合格するというのは、もちろんその受験生自身の努力によるところが絶大であることは言うまでもないのですが、控えめに言って僕の答案例がすばらしいからだとも思うんですよね(笑
うぬぼれはさておいて、市中で流通してる答案に言いたいことがある、という極私的な理由ではじめた論文式試験の答案例を一通り書き終えたことと前後して、短答式試験について、
短答式試験の受験生は、総じて年内の問題演習量が足りない
という主張をしたいという欲が芽生えました
この主張もまた、単なる指摘にとどまって、
「じゃあどうすればいいの?」
っていう受験生からのもっともな返答に対してリターンがなければ、ヤジでしかなく、生産的ではないです
そう思って重い腰を上げて特許庁が公開している平成14年度の短答過去問の解説を書きはじめ、今年ようやく書き終えたという背景があります
まったく、批評をしたり主張をするのは楽ではないですよ 汗
「弁理士試験に最終合格しました」って一言を現実に起きた事実として言うために、膨大な努力が必要なことと、どこか似てるなとも感じます
そんな短答過去問の全肢解説も、すべての原稿の校正が戻ってくるのを著者として待ち望んでるのですが、ただ待ってるだけでは校正は早まらないので、脱稿した原稿のうち、まだ校正に着手されていない科目・単元については記載の見直し/書き直しをすることにしました
ということで、一昨日から昨日にかけて、著作権法の全肢解説の原稿を見直して、若干の書き直しをしました
これで著作権法の初校はより早く戻ってくることでしょう
望む結果が実現しない時に、「実現しないなぁ」と受け身で待つのではなく、実現するために自分でできることを探して、それらに着手して終わらせることって大切だよなと改めて考えています
さて、宿題にしていた平成19年の意匠・問題Iを解いていきましょう
そういえば、論文式試験の科目が「意匠」になったのは平成20年からで、平成19年以前は「意匠法」でしたね
つまり、現在実施されてる試験科目は「意匠」であって、「意匠法」の試験は実施されていません
(特許・実用新案、商標も同様、以下同じ)
もし平成20年以降の答案例について「意匠法」とタイトルが付けられていたら、それは誤りです
気づいたら直したいですけど、気づけないと直せないですよね
本題に戻って、いつものように、まずは形式面のチェックをします
「科目を問わず、論文式試験においてやることは同じ」
という感覚を持ってもらいたいですのですが、そろそろ定着してきましたでしょうか
問Iは配点が100点中35点なので、解答量は前4ページの35%ほどに抑えたいものの、35%と言われてもピンとこないので、「1ページ強」というアバウトな捉え方でOKです
また、問Iの記載量は問IIの答案構成をした後に最終判断します
今回も、無理して1ページに記載を膨らませる必要はありません
次に内容です
登録意匠は意匠権の設定の登録から当該意匠権により保護されるにもかかわらず、一定期間これを秘密にすることを請求することができる制度(秘密意匠制度・意匠法第14条)が設けられている理由について、論ぜよ。
ということで、秘密意匠制度の趣旨が問われています
秘密意匠については論文式試験・口述試験ともに頻出です
口述試験は直近だと平成27年、令和5年も関連して問われてはいるのかな
論文式試験だと過去10年に限定すると令和3年・元年・平成28年に出題されました
直近10年で3回出題されてるのは、結構な頻度ですよね
弁理士試験は出題される科目の条文数がそれほど多くはないから、過去問さえ演習していけば類題による復習も自然とできます
わざわざ民間で作成された問題で演習するのはコスパが悪いと正直感じます
そもそも民間で作成された問題も、過去問をベースに作られてるわけですし、それでいて、
「やはり本試験は特有の問われ方で、レベルが高いですね」
だなんて毎年言われても、そりゃプロが集まって年に1科目1~2通分しか作問してないんだからクオリティが高くなるのは当然し、だったら過去問演習やろうよ、でしかないです
設問表現について指摘しておきたいことは2つあって、1つは設問の末尾が「論ぜよ」になっていることについて
これは「論ぜよ」とあるんだから論じなければいけない、というのは建前上その通りなのですが、実際には「論ぜよ」とある問題であっても「説明せよ」と同じように解答してOKです
本当に論じることを求めている場合は反対説も書くように問題文で明示的に指示があります
(平成29年の商標のや令和元年の商標の本試験問題のように)
加えて、どの問題も事例問題の解答とトータルで合否は決まるので、問題文に明示的な指示がないのに「論じる」ことにこだわるくらないなら、事例問題の解答を充実させましょう
もう1つ、問題文の冒頭に、
登録意匠は意匠権の設定の登録から当該意匠権により保護されるにもかかわらず、
とあるのは、単に、
秘密意匠制度(意匠法第14条)が設けられている理由について、論ぜよ。
とだけ問われている場合と、何か書き分ける必要があるでしょうか?
これもまた、無理に書こうとして時間をかけすぎるくらいなら、事例問題の解答をまずは優先させるというのが判断としては望ましいです
もっとも、制度趣旨が問われたときの定石である、
原則
しかし
そこで
の流れで解答すれば、「登録意匠は意匠権の設定の登録から当該意匠権により保護される」から、設定登録された意匠権の内容は公示される(20条3項)という原則部分には自然と言及できます
具体的な記載内容は逐条解説の説明をベースにするのが妥当です
実際の解答をどのように記載するかについては、以下に示す答案例をご覧ください
問Iの解答の文字数は389字で、答案全体は1,374字です
答案全体でも文字数は少ないのですが、問IIにおいて考えさせる問題が出題されているので、解答の方針を決めるのには時間がかかることが見込まれます
・・・と、平成19年の意匠・問IIの問題文を改めて見ると問われていることが令和7年の本試験と似ていますね
やはり今年も例年と同じく過去問の演習ができていた受験生は対策としてはバッチリだったと言えます
この問題(平成19年の意匠・問II)は、また機会を見つけて解説したいです
問Iの解答は、逐条解説の丸写しではなく、根拠条文を適宜示している点に注目して真似てくださいね