インプット教材としても「短答過去問」が最強
いつもお読みくださいましてありがとうございます
受験統計を見ても、弁理士試験の受験生は頭のいい人が多いと思っています
(引用した表は、今年の弁理士試験において出身者が50人以上志願している大学のリスト)
そのため、こと弁理士試験の受験勉強に関しては、過去問を整理したものを示していけば、あとは自走できる人が多いと考えています
とはいえ、弁理士試験では過去問の整理が網羅的・体系的になされていないので、『全肢解説』やこのレターを通じて過去問の整理を示していきます
その際、僕の主観をできるだけ混ぜずに、出題実績を定量的に示していきたいです
ここが出るとか出ないとか、定性的な話はわりとどうでもよくて、出題実績を定量的に示していけば、出題傾向はおのずから導けると考えるからです
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前回のレターで宿題にしていた、平成16年の特許法・実用新案法 問題I(以下、「本問」という)を解説します
特許・実用新案の1通目において「国際出願」の事例問題は今となっては定番ですが、平成16年以降ではじめて出題されたのは本問が最初です
問(1)と問(2)の解答量は1:1と見積もって解答していきます
設問の要求は、問(1)が国際出願A2について「審査を受けるために行うべき手続」に関して「留意すべき点」を述べよ、であるのに対し、問(2)はA2が「他の特許出願」(29条の2)としてBを拒絶するために「備えるべき要件」を述べよ、です
事案の整理は複雑ではないですね
問(2)の設問で示された乙の出願も含めてまとめておきます
甲・乙がイを発明した時期は問題文では不明ですが、本問では発明した時期は解答に影響しないので、図示する時は便宜上そろえておきます
一方で、甲のA2と乙のBの位置をそろえているのは、BがA2の国際出願日に出願されたことを意味しています
答案構成に入っていきましょう
問(1)について、A2について審査を受けるためには出願審査の請求(48の3①)が必要です
さらに、「英語」で出願された外国語特許週願について出願審査の請求をするためには国内移行が必要です(184の17)
国内移行手続として具体的にどのような手続が必要かは、184条の17をチェックリストにして解答できます
国際特許出願の出願人は、日本語特許出願にあっては184条の5第1項、外国語特許出願にあっては184条の4第1項又は第4項及び184条の5第1項の規定による手続をし、かつ、195条2項の規定により納付すべき手数料を納付した後、国際特許出願の出願人以外の者は、国内書面提出期間(184条の4第1項ただし書の外国語特許出願にあっては、翻訳文提出特例期間)の経過後でなければ、国際特許出願についての出願審査の請求をすることができない。
今回は、A2の出願人甲が出願審査の請求をするので、
-
明細書・請求の範囲の翻訳文提出(184の4①)
-
国内書面の提出 (184の5①柱)
-
手数料の納付 (195②)
をすれば出願審査の請求ができます
国内移行に必要な手続についても、項目を丸憶えするというよりは、どこに書いてあるかを憶えておくほうがド忘れの対策として有用です
答案構成としては、
問(1)
1. 出願審査の請求 (48の3①)
2. 出願審査の請求のための手続 (184の17)
(1). 翻訳文の提出 (184の4①)
(2). 国内書面の提出 (184の5①柱)
(3). 手数料の納付 (195②)
の順番で解答するとまとまりがよいです
「留意すべき点」は、それぞれの手続について時期的要件を解答すれば十分でしょう
ここで、A2の出願人甲は「在外者」であることから、A2については「特許管理人の選任の届出」が必要です (184の11②)
この「特許管理人の選任の届出」は、届け出なくても出願審査の請求はできることから(184の11①)、「出願審査の請求のための手続」として解答するのはNGです
一方で、この届出をしなければA2はみなし取下げとなる(184の11⑤)ことに加え、たとえば審査において拒絶理由が通知された場合の意見書の提出(50条本文)は原則として特許管理人でなければできないから(8①)、問(1)で問われている「審査を受けるために行うべき手続」としては必要です
よって、「特許管理人の選任の届出」については、解答の位置に注意してください
問(1)
1. 出願審査の請求 (48の3①)
2. 出願審査の請求のための手続 (184の17)
(1). 翻訳文の提出 (184の4①)
(2). 国内書面の提出 (184の5①柱)
(3). 手数料の納付 (195②)
3. 特管人の届出 (184の11②⑤)
次に問(2)で問われている、A2が「拡大された範囲の先願の地位」(29の2本文)を満たすかについては、5要件+1要件(184条の13)を満たすかを1つ1つ検討して、結論を解答すればOKです
問(2)
1. 29の2の適用要件
(1). 先願 (29の2本文)
(2). 当初明細書等に記載された発明と同一 (29の2本文)
(3). 国際公開 (184の13・読替29の2本文)
(4). 翻訳文提出 (184の13・読替29の2かっこ)
(5). 出願人同一ではない (29の2本文)
(6). 発明者同一ではない (29の2かっこ)
2. 結論
ここで29条の5要件が瞬時に思い出せない場合はシンプルに基礎力不足です
さっそく全肢解説の特実4章に取り掛かりましょう
全肢解説では、本試験で出題された29条の2の事例問題を出題パタンごとに体系化して収載しているので、解答スピードを上げながら29条の2の5要件を反復してチェックすることができます
どの問題の解説においても、繰り返し「すべての要件を検討」した後に「効果に言及」しており、これは法律学習そのものです
短答式試験対策でこれだけしつこく要件・効果を反復していれば、論文式試験の答案練習をするときに要件の抜け漏れはイヤでも劇的に減るでしょう
短答式試験対策と論文式試験対策とを統合させる
ことの重要性は方々から聞こえるので、あなたの耳にも届いていることと思いますが、僕なりに短答式試験対策と論文式試験対策とを統合させた具体例の1つが今回の全肢解説です
話しを本題に戻すと、A2とBとの先後願判断について、A2はA1を基礎にしたパリ条約による有効な優先権の主張を伴っているから、Bの審査における29条の2本文の「他の特許出願」の判断基準時は、A2については基礎出願A1の出願時となります
この判断基準時については、審査基準において説明があります
また、この判断基準時をベースにした短答式試験の過去問が令和6年に出題されているので、インプット用の教材としても短答の過去問演習で十分カバーできます
本問の事例問題においては、29条の2の残りの4+1要件のうち、判断に困るものはありません
条文レベルで4+1要件を示した後に、あてはめられる要件はあてはめつつ、最後に「残りの要件を満たせば、BはA2を引例として29条の2に基づいて拒絶される」という結論(=法的効果)を示してフィニッシュです
と、ここでは、
「あてはめられる要件はあてはめつつ、」
とサラッと書いてしまいましたが、どのように書けばより濃い記載になるのかは、まずは自分で書いた答案と以下の答案例とを見比べてみてください
答案表現の濃さにフォーカスした解説は、また別の機会に記事にしたいと思います
今日のレターの締めくくりとして、本問の答案例を引用しておきますね
全体として文字数は1,443字です
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